2009年 03月 17日
おいなりさん |
たくさん作れば、すなわちおいしい。
おいしいおいなりが作りたい。
これはここ数年の私の命題である。
皮の煮具合、酢めしの塩梅。ほどよい固さ、具の選定、サイズ。
おいなりは地味だけれど、あの甘じょっぱい皮の中にさまざまな課題を内包している。
そして、うちの同居人はおいなり星人なのだ。おいなりを前にすると黙る。そして食べる。怖い顔をして。
最初は気に入らないのか、機嫌が悪いのかと思っていたが、実はおいしくて夢中で食べていたのだった。
そんなに好きなのならば、おいしいのを作りたいじゃないか。そしてうちで作ればたくさん食べられるのだ。
しかも、なぜだかたくさん作った方がおいしい。給食の法則。
自炊を始めた20年前からちょこちょこおいなりはこしらえてきたが、最近ようやく味が安定するようになってきた。こういうものは、本のレシピ通りに作れば必ずおいしい、というものでもないんだな。
精密に量っても、醤油や揚げの質、米の品種、ごはんの炊き具合、酢めしの仕上がり具合、何より「好み」で、「おいしいかどうか」はいかようにでも変わる。
参考までに我が家の2009年3月現在のベスト配合と使用食材を下記に載せておく。
***********
材料(おいなり40個分)/
酢めし
米(黒瀬農舎アキタコマチ)…5合を三分搗きにしたもの
昆布(5cm長さ)…1枚
水…900cc弱
酒…おちょこ一杯
合わせ酢
酢(富士酢)…250cc
砂糖(洗双糖)…大さじ5
塩(小笠原の自然海塩)…小さじ2
皮
油揚げ(長方形)…20枚
だし汁(昆布+かつお節)…250cc
水…250cc
濃口醤油(かめびし濃口)…100cc
薄口醤油(かめびし薄口)…100cc
中ざらめ…200g
具
にんじん…中1/2本
だし汁+醤油+みりん…適宜
切り干し大根の煮物の切り干し大根部分…100gくらい
いりごま…大さじ3
作り方/
(1)まず下準備として前日に切り干し大根を煮る。
レシピはお好みで。煮た切り干し大根が必要なの。
うちのはいりこだしで、にんじん、干ししいたけが入り、ちょい甘め。
切り干し大根を煮た時に、おいなり用を取り分けて冷凍しておくのもよい。
(2)皮を煮る。
これも前日にしておくと楽だ。
油揚げは半分に切り、中を開いておく。
あまり上等のものより、4枚入りぐらいで多少ふがふがしているやつの方が開きやすい。
開きにくいやつは、麺棒をころころ転がすと開きやすくなる。
開いたらざるに並べ、熱湯をかけ回して油抜きをする。裏も。
私はたくさん作るときは面倒なので大鍋に湯を沸かして揚げをぶちこみ、ざーっとざるに上げる。こういう乱暴なことをすると破けやすいので、注意されたし。
油抜きした油揚げをていねいに鍋にならべる。ここで折れていたりしわが寄ったりしていると後々面倒なことになるので、おがんばりなさいよ。
別鍋で煮汁を作っておく。
だし汁、醤油、ざらめを鍋に入れて沸かし、砂糖を煮溶かす。
油揚げの鍋に煮汁をざーっと入れ、落としぶたをして中火で煮る。
沸いたら弱火にしてくつくつ煮る。20分も煮ればいい。あとは落としぶたをしたままさらに鍋のふたもして、放置。(20分煮たら落としぶたをとり、煮汁を飛ばすように煮詰めるとちょっと味の濃いのができるよ)
冷めたら、そのままでもいいがバットに並べ直しておくと邪魔にならず、鍋も空いてよかろう。
まだここでは汁をしぼっちゃダメ。並べたら鍋の汁もかけ、しみしみにしておくこと。
(3)製作当日。酢めしの準備。
うちの寿司は三分搗き米で作る。どうせ包むし具も入れるので色が付いていたってかまうものか。ぬか分は余分な酢を吸ってくれてほどよいのだ。
でも、「すしは純白に仕上げたい」という人は白米でやればいいのだ。
米はといで30分ほどざるに上げておく。水には浸けなくていい。洗った水を吸うぐらいでいいから。
合わせ酢の材料はあらかじめ合わせておく。砂糖が多いので溶けにくいから、できれば前日に混ぜておくがいい。
米を土鍋に入れ、水・酒を注ぎ、昆布をのせる。そして炊く。
炊飯器では適当にしてね。
炊いている間に、具の準備。
にんじんは可能な限り細く切る。そしてだしでさっと煮る。歯ごたえが残るぐらいがいいので、1~2分でいい。
だしは切り干し大根の煮汁でも、めんつゆを割ったものでも、一から作ったのでもなんでもよろしい。ほんのり味がついているかもなー、というぐらいに。煮えたらざるにあける。
切り干し大根の煮物は、1cm長さくらいにざくざく切っておく。
ごまはさっと煎る。
さあ米が炊けました。
蒸らしが終わったら昆布をはずし、鍋肌にくるりとしゃもじを入れる。
さっと洗って拭いた飯台にぽかりとあける。真ん中編の山積みでいい。
ここに、合わせ酢をじゃーっとかける。一度にでもいいけど、飯台にガタが来ていると端から酢がもれるので、そのような場合は2~3回に分けてだましだまし注ぐ。
熱いごはんに酢がかかるので盛大にむせる。がまんだ。
酢を吸い込みつつあるめしをしゃもじでざくざくと飯台に広げ、広げたら今度は横にさくさく切るように返していく。
ごはんの塊をほぐすようにしているとなんだかそのうちだいたい均一に混ざってくる。途中でにんじん、切り干し、ごまも入れて混ぜ、だいたい混ざったら飯台全体に酢めしを広げて盛大にうちわであおいで湯気をとばす。
これで酢めしのできあがり。
けっこうくたびれるので、酢めしにラップかぬれぶきんでもかけて、お茶でもするがよろしい。
(4)一息ついたら酢めしを握るよ。
酢めしが十分に冷めたら握る。あったかいまま皮に詰めると堅くなる。
私は以前はいなりの皮に適当にめしをどんどん詰めていたのだが、そうするとあいつにはいくらでも詰まるんだ。そして、でっかいのが少ししかできないという事態になる。
それではいかんので、個数に分けて握り寿司を作り、それを詰めることとした。そうすれば皮が余ることもないのだ。ていうか、最初からそうしろ、私。
それでも、どうやら私のいなりはでかいです。ゴールデンハムスターぐらいあります。仕方ない。田舎で育った子ともなのだから。秋田のおばちゃんのおいなりなんか、いまだにもっとでかいぞ。しかも、酢めしがモチ米でできてるんだ。参ったか。
さあ、おいなりを作りましょう。
飯台に広げた酢めしに、しゃもじでだいたい八等分の筋をつける。これで、ひと区画5個作ればいいのだ。
手に酢水をつけると握りやすいが、つけすぎぬよう。俵おむすびの容量でほいほいとむすんでいく。
出来上がる頃には大小があろうから、適宜調整する。
(5)満を持して、皮の登場だ。
昨日煮た皮がほどよく煮汁を吸い込んでいる頃だろう。
これを取り出してきて、軽く汁を搾る。5枚ぐらい重ねて手のひらではさんでぎゅーっと押す。
絞りすぎるとつまらないが、汁気が多すぎてもびしゃびしゃするので加減するのだ。
汁を搾る前の状態で重ねてジップロックに入れれば冷凍できる。皮はたくさん煮た方がおいしくほどよくでき、しかも作りやすいのでたくさん煮よう。
絞った皮を破かぬように開き、むすんだ酢めしを詰めていく。
できるだけ隅まで追いやったら、羽根枕を封筒型の枕カバーで包む要領で皮の端をたくしこむ。
破けたら深追いせず、証拠隠滅する。
つまりぶきっちょさんはできあがる頃には腹いっぱいです。精進すべし。
全部詰めて、できあがり。お狐さまに敬意を表しながら、思うさま食べる。
(6)おいなりは完成した状態でも冷凍できる。
ひとつずつラップにくるんで凍らせる。
自然解凍し、レンジでチンするか、せいろでふかす。あったかいおいなりはなかなかおいしいのだ。
冷蔵庫に入れて固くなったのも、あっためるべし。
たくさん作ったものは、積むとなんか嬉しい。
もちろん40個も作らなくていいんだけれども。
最低、米3合分(酢150cc、砂糖大さじ3、塩少々)ぐらいで作った方が味が決まりやすく、酢めしを切りやすいのだ。その辺はいいように調整すべし。
あくまでも自己責任で、自分のおいなりを育ててください。
人の数だけ、おいなりはあるのさ。
レシピブログに参加しています。
おいしいおいなりが作りたい。
これはここ数年の私の命題である。
皮の煮具合、酢めしの塩梅。ほどよい固さ、具の選定、サイズ。
おいなりは地味だけれど、あの甘じょっぱい皮の中にさまざまな課題を内包している。
そして、うちの同居人はおいなり星人なのだ。おいなりを前にすると黙る。そして食べる。怖い顔をして。
最初は気に入らないのか、機嫌が悪いのかと思っていたが、実はおいしくて夢中で食べていたのだった。
そんなに好きなのならば、おいしいのを作りたいじゃないか。そしてうちで作ればたくさん食べられるのだ。
しかも、なぜだかたくさん作った方がおいしい。給食の法則。
自炊を始めた20年前からちょこちょこおいなりはこしらえてきたが、最近ようやく味が安定するようになってきた。こういうものは、本のレシピ通りに作れば必ずおいしい、というものでもないんだな。
精密に量っても、醤油や揚げの質、米の品種、ごはんの炊き具合、酢めしの仕上がり具合、何より「好み」で、「おいしいかどうか」はいかようにでも変わる。
参考までに我が家の2009年3月現在のベスト配合と使用食材を下記に載せておく。
***********
材料(おいなり40個分)/
酢めし
米(黒瀬農舎アキタコマチ)…5合を三分搗きにしたもの
昆布(5cm長さ)…1枚
水…900cc弱
酒…おちょこ一杯
合わせ酢
酢(富士酢)…250cc
砂糖(洗双糖)…大さじ5
塩(小笠原の自然海塩)…小さじ2
皮
油揚げ(長方形)…20枚
だし汁(昆布+かつお節)…250cc
水…250cc
濃口醤油(かめびし濃口)…100cc
薄口醤油(かめびし薄口)…100cc
中ざらめ…200g
具
にんじん…中1/2本
だし汁+醤油+みりん…適宜
切り干し大根の煮物の切り干し大根部分…100gくらい
いりごま…大さじ3
作り方/
(1)まず下準備として前日に切り干し大根を煮る。
レシピはお好みで。煮た切り干し大根が必要なの。
うちのはいりこだしで、にんじん、干ししいたけが入り、ちょい甘め。
切り干し大根を煮た時に、おいなり用を取り分けて冷凍しておくのもよい。
(2)皮を煮る。
これも前日にしておくと楽だ。
油揚げは半分に切り、中を開いておく。
あまり上等のものより、4枚入りぐらいで多少ふがふがしているやつの方が開きやすい。
開きにくいやつは、麺棒をころころ転がすと開きやすくなる。
開いたらざるに並べ、熱湯をかけ回して油抜きをする。裏も。
私はたくさん作るときは面倒なので大鍋に湯を沸かして揚げをぶちこみ、ざーっとざるに上げる。こういう乱暴なことをすると破けやすいので、注意されたし。
油抜きした油揚げをていねいに鍋にならべる。ここで折れていたりしわが寄ったりしていると後々面倒なことになるので、おがんばりなさいよ。
別鍋で煮汁を作っておく。
だし汁、醤油、ざらめを鍋に入れて沸かし、砂糖を煮溶かす。
油揚げの鍋に煮汁をざーっと入れ、落としぶたをして中火で煮る。
沸いたら弱火にしてくつくつ煮る。20分も煮ればいい。あとは落としぶたをしたままさらに鍋のふたもして、放置。(20分煮たら落としぶたをとり、煮汁を飛ばすように煮詰めるとちょっと味の濃いのができるよ)
冷めたら、そのままでもいいがバットに並べ直しておくと邪魔にならず、鍋も空いてよかろう。
まだここでは汁をしぼっちゃダメ。並べたら鍋の汁もかけ、しみしみにしておくこと。
(3)製作当日。酢めしの準備。
うちの寿司は三分搗き米で作る。どうせ包むし具も入れるので色が付いていたってかまうものか。ぬか分は余分な酢を吸ってくれてほどよいのだ。
でも、「すしは純白に仕上げたい」という人は白米でやればいいのだ。
米はといで30分ほどざるに上げておく。水には浸けなくていい。洗った水を吸うぐらいでいいから。
合わせ酢の材料はあらかじめ合わせておく。砂糖が多いので溶けにくいから、できれば前日に混ぜておくがいい。
米を土鍋に入れ、水・酒を注ぎ、昆布をのせる。そして炊く。
炊飯器では適当にしてね。
炊いている間に、具の準備。
にんじんは可能な限り細く切る。そしてだしでさっと煮る。歯ごたえが残るぐらいがいいので、1~2分でいい。
だしは切り干し大根の煮汁でも、めんつゆを割ったものでも、一から作ったのでもなんでもよろしい。ほんのり味がついているかもなー、というぐらいに。煮えたらざるにあける。
切り干し大根の煮物は、1cm長さくらいにざくざく切っておく。
ごまはさっと煎る。
さあ米が炊けました。
蒸らしが終わったら昆布をはずし、鍋肌にくるりとしゃもじを入れる。
さっと洗って拭いた飯台にぽかりとあける。真ん中編の山積みでいい。
ここに、合わせ酢をじゃーっとかける。一度にでもいいけど、飯台にガタが来ていると端から酢がもれるので、そのような場合は2~3回に分けてだましだまし注ぐ。
熱いごはんに酢がかかるので盛大にむせる。がまんだ。
酢を吸い込みつつあるめしをしゃもじでざくざくと飯台に広げ、広げたら今度は横にさくさく切るように返していく。
ごはんの塊をほぐすようにしているとなんだかそのうちだいたい均一に混ざってくる。途中でにんじん、切り干し、ごまも入れて混ぜ、だいたい混ざったら飯台全体に酢めしを広げて盛大にうちわであおいで湯気をとばす。
これで酢めしのできあがり。
けっこうくたびれるので、酢めしにラップかぬれぶきんでもかけて、お茶でもするがよろしい。
(4)一息ついたら酢めしを握るよ。
酢めしが十分に冷めたら握る。あったかいまま皮に詰めると堅くなる。
私は以前はいなりの皮に適当にめしをどんどん詰めていたのだが、そうするとあいつにはいくらでも詰まるんだ。そして、でっかいのが少ししかできないという事態になる。
それではいかんので、個数に分けて握り寿司を作り、それを詰めることとした。そうすれば皮が余ることもないのだ。ていうか、最初からそうしろ、私。
それでも、どうやら私のいなりはでかいです。ゴールデンハムスターぐらいあります。仕方ない。田舎で育った子ともなのだから。秋田のおばちゃんのおいなりなんか、いまだにもっとでかいぞ。しかも、酢めしがモチ米でできてるんだ。参ったか。
さあ、おいなりを作りましょう。
飯台に広げた酢めしに、しゃもじでだいたい八等分の筋をつける。これで、ひと区画5個作ればいいのだ。
手に酢水をつけると握りやすいが、つけすぎぬよう。俵おむすびの容量でほいほいとむすんでいく。
出来上がる頃には大小があろうから、適宜調整する。
(5)満を持して、皮の登場だ。
昨日煮た皮がほどよく煮汁を吸い込んでいる頃だろう。
これを取り出してきて、軽く汁を搾る。5枚ぐらい重ねて手のひらではさんでぎゅーっと押す。
絞りすぎるとつまらないが、汁気が多すぎてもびしゃびしゃするので加減するのだ。
汁を搾る前の状態で重ねてジップロックに入れれば冷凍できる。皮はたくさん煮た方がおいしくほどよくでき、しかも作りやすいのでたくさん煮よう。
絞った皮を破かぬように開き、むすんだ酢めしを詰めていく。
できるだけ隅まで追いやったら、羽根枕を封筒型の枕カバーで包む要領で皮の端をたくしこむ。
破けたら深追いせず、証拠隠滅する。
つまりぶきっちょさんはできあがる頃には腹いっぱいです。精進すべし。
全部詰めて、できあがり。お狐さまに敬意を表しながら、思うさま食べる。
(6)おいなりは完成した状態でも冷凍できる。
ひとつずつラップにくるんで凍らせる。
自然解凍し、レンジでチンするか、せいろでふかす。あったかいおいなりはなかなかおいしいのだ。
冷蔵庫に入れて固くなったのも、あっためるべし。
たくさん作ったものは、積むとなんか嬉しい。
もちろん40個も作らなくていいんだけれども。
最低、米3合分(酢150cc、砂糖大さじ3、塩少々)ぐらいで作った方が味が決まりやすく、酢めしを切りやすいのだ。その辺はいいように調整すべし。
あくまでも自己責任で、自分のおいなりを育ててください。
人の数だけ、おいなりはあるのさ。
レシピブログに参加しています。
by shizumin_exite
| 2009-03-17 20:22
| うちごはん