2010年 08月 23日
六角精児バンドライブ2010@下北沢 |
おじさんたちにしびれたぜ
俳優&ミュージシャンの六角精児さんのライブに行ってきた。
場所は下北沢のラ・カーニャ。
土曜の晩&日曜の昼と晩の三公演あったうちの、日曜の昼の回のチケットをとって友人と連れだって出かける。彼女は六角ファンというわけではなかったのだが、ライブ終了後にまんまと「かっこいい…」と言わしめた。はっはっはっ、参ったかね。
開演の30分前、開場する時間に合わせて店の前に付いたら友人が「あっ!」と小さく叫ぶ。なんと演者5人がぞろぞろ地下の店から階段を上がって出てきたところだったのだ。なんたること。
今からわくわくして観ようと思っているひとたちがもう出てきちゃったよ。たまげた。うれしいけど、薄まるありがたみ。
後でわかったが、この店には控え室的な場所がないのだ。それで、開演まで外をうろつかざるを得ないのかもなあ。暑い中、ちょっと気の毒。でもニヤニヤしてしまうよ。
六角氏はタコ柄のTシャツに黄色いめでたい和柄のアロハに首タオル姿。そしてこのまま演奏したのでした。そのまま下北沢の街をうろうろしていそうだ。大層似合う。
席は自由席だったのでかぶりつきの椅子席にすわってみた。近い近い。小さいハコっていいな。学生の時に観まくっていた小劇団の公演は大概こんな近さだった。生で観るたのしさとうれしさ、久しぶりだ。
外の暑さと光をすっかり忘れるほど、地下の空間は薄暗くてひんやり涼しい。扇風機の風が心地いい。ワンドリンク付きのチケットだったので、冷たいジンジャーエールをもらう。レモンがきりりとおいしい。
猛暑の日曜の真っ昼間のライブ。不思議。実際、晩の回よりだいぶ空いていたらしく、ゆるい雰囲気での演奏だったようだ。ちょっと得した気持ちだ。
バンドメンバーは六角精児氏(ギター&ボーカル)、相島一之氏(ブルースハープ)、江上徹氏(ギター)、高橋悟朗氏(ベース)、有馬自由氏(パーカッション)。
六角氏は映画の中でもギターと歌声を披露している。低くて柔らかい深い声。さすが舞台役者さん、小さい低い声でも遠くまで聞こえる、響く。MCは唐突な話だったり脱線したりしているように見えて、ちゃんと歌とつながるし、観る側を惹き付けて巻き込んで目を離させない。花のあるひと。実物を見ると、本当にかっこいいのがわかるよ。「昨日の夜の公演では目の前に実の姉がいて、その前で『早く抱いて』と歌うのはいささかきまりが悪かった」というエピソードに笑う。
役者さんが3人もいるバンドなので、劇団の話もおもしろい。若い頃、閉店間際の銭湯でほかの劇団の役者さんと会っても、なんとなく「敵みたいなかんじで一言も話さなかった」んだそうな。なんかわかるぞ。「隣の小学校の奴らとは話さない」的な。そしてその頃、高橋克実氏は髪を洗っていたのだそうな…
相島一之氏は、東京サンシャインボーイズに所属していた俳優さんで、「12人の優しい日本人」で主演していたのが印象強い。もう20年も前田と思うとおそろしが、氏はちっとも変わっていない。ブルースハープのシャウトも歌声も素敵だ。端正な眼鏡顔が美しい。
六角氏が毒づこうとしてやめると斜め後ろから「毒、吐いちゃいなよ!」とそそのかす。観客が引きそうな鉄道話にネタが逸れすぎると、「その用語わからないから」とちゃんと軌道修正もしたり。そんな様は、まさに「優しい悪魔」。
江上徹氏はカッコいいギターを弾く。そしてハスキーボイスがセクシーでシビれる。プロフィールによると、ナレーターのお仕事もされているとか、なるほど。
最近心臓が止まりかけたという話は笑えないけど笑っちゃった。どうか、お体大事にしてください。
高橋悟朗氏はジャズミュージシャンで、六角氏の高校の後輩なのだそうな。ちょうどベースの真ん前に座っていたのでじっくり堪能できた。ベースってすごいな。職人技。六角氏がギターを入れ替えるためにちょっと穴埋めを頼まれたシーンで弾いていたソロ、見入ってしまった。そしてバンドメンバーも見入っていた。それに気づいた氏が照れて途中でやめちゃったのが残念。
有馬自由氏は六角氏と同じ扉座の俳優さんで、最初のライブから一緒に演奏しているのだそうな。最初は準備時間もなく、ライブ会場に向かう飛行機の中で曲目を説明されてあわてて準備したそうで、六角氏に「たいこたたいてるフリしてたんじゃないの」「フリの方が大変だよ!」なんて笑って話していた。素敵な笑顔。笑顔が辺りをぱあっと明るく照らす。柔らかいたいこの音に、聞いている方もにこにこしてしまう。
みんな40台中旬~50前のおじさんたちなんだけど、ひたすらカッコいい。このバンドにかかって六角氏が歌うと、オリジナルはもちろんおこと、カバー曲も六角バンドの色に見事に染まる。
最後に歌ってくれた「やつらの足音のバラード」なんて「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングだのに全く別ものに響いてきて、胸があたたかいのに詰まった。友人は涙ぐんでいた。
「以前より生活は楽になって、飲み屋で好きなものを頼めるようになったけど、今度は痛風で体がつらいので他人に勧めてそれを横からもらう」とか「親しげに話しかけられてもう30分も話を合わせているけれど、あなたが誰だかわからない」だとか、「今日も出かけて飲み或る胃たが、酒に毒でも入っているのか今日も気分が悪い」だとか、そんな歌たち。
完璧でも二の線でもないけど、だから歌える歌で、心を打つ。
やらかしちゃったり、くやしい思いをしたり、とことん落ち込んだり、痛かったり、恥ずかしかったり、傷ついたりしたことがあるからこそわかることがある。他人の気持ちが思いやれるようになる。それからでないと歌えない歌がある。
かっこいいなあ、おじさんバンド。
シビれました。参りました。きっと、また行っちゃうよ。
終了後、ひと息付いて身支度をととのえて階段を上がろうとしたら、さっきはけていったバンドメンバーがまたそこにいるのだった。あのう、よくお会いしますね…
図々しく、六角氏に握手をお願いした。快く手を差し出してくれた。さらさらでふっくらした、いい手だった。
外は明るくて暑い。夏休みの昼寝中にみていた夢からさめたみたいだった。
***********************************
追記:mxiの江上徹氏の日記より、セットリストを掲載いただいたので転記。
一部
1.男らしいって分かるかい (高田渡/ボブディランのカバー/Ishallbereleast)
2.早く抱いて/下田逸郎
3・トンネル/高田渡
4.下北沢茶沢通り
5.出かけては帰って来て
6・想う
7.アナタが誰だか判らない/相島一之さん 歌唱/(相島さんオリジナル)
8.ほんとうの歌 (相棒米沢守の事件簿サウンドトラックより)
二部
1.愛のさざ波/島倉千代子
2.一人の歌
3.お父さんが嘘をついた
4.ロックンロール/バンバンバザール
5.グンナイト
6.無言劇/萩原健一(江上徹歌唱)
7.この世で一番キレイなもの/早川義夫
8.各駅停車/猫
アンコール
やつらの足音のバラード/かまやつ ひろし
■おまけ
「相棒」からのお花。
私は六角氏見たさの相棒ファンなのだ。
氏が主演で「相棒-米沢守の事件簿-」が映画化された時には「都合のいい夢を見るなあ、私も」とあきれたが本当だった。
映画の六角さんは、よりいっそう髪がサラサラだよ。
俳優&ミュージシャンの六角精児さんのライブに行ってきた。
場所は下北沢のラ・カーニャ。
土曜の晩&日曜の昼と晩の三公演あったうちの、日曜の昼の回のチケットをとって友人と連れだって出かける。彼女は六角ファンというわけではなかったのだが、ライブ終了後にまんまと「かっこいい…」と言わしめた。はっはっはっ、参ったかね。
開演の30分前、開場する時間に合わせて店の前に付いたら友人が「あっ!」と小さく叫ぶ。なんと演者5人がぞろぞろ地下の店から階段を上がって出てきたところだったのだ。なんたること。
今からわくわくして観ようと思っているひとたちがもう出てきちゃったよ。たまげた。うれしいけど、薄まるありがたみ。
後でわかったが、この店には控え室的な場所がないのだ。それで、開演まで外をうろつかざるを得ないのかもなあ。暑い中、ちょっと気の毒。でもニヤニヤしてしまうよ。
六角氏はタコ柄のTシャツに黄色いめでたい和柄のアロハに首タオル姿。そしてこのまま演奏したのでした。そのまま下北沢の街をうろうろしていそうだ。大層似合う。
席は自由席だったのでかぶりつきの椅子席にすわってみた。近い近い。小さいハコっていいな。学生の時に観まくっていた小劇団の公演は大概こんな近さだった。生で観るたのしさとうれしさ、久しぶりだ。
外の暑さと光をすっかり忘れるほど、地下の空間は薄暗くてひんやり涼しい。扇風機の風が心地いい。ワンドリンク付きのチケットだったので、冷たいジンジャーエールをもらう。レモンがきりりとおいしい。
猛暑の日曜の真っ昼間のライブ。不思議。実際、晩の回よりだいぶ空いていたらしく、ゆるい雰囲気での演奏だったようだ。ちょっと得した気持ちだ。
バンドメンバーは六角精児氏(ギター&ボーカル)、相島一之氏(ブルースハープ)、江上徹氏(ギター)、高橋悟朗氏(ベース)、有馬自由氏(パーカッション)。
六角氏は映画の中でもギターと歌声を披露している。低くて柔らかい深い声。さすが舞台役者さん、小さい低い声でも遠くまで聞こえる、響く。MCは唐突な話だったり脱線したりしているように見えて、ちゃんと歌とつながるし、観る側を惹き付けて巻き込んで目を離させない。花のあるひと。実物を見ると、本当にかっこいいのがわかるよ。「昨日の夜の公演では目の前に実の姉がいて、その前で『早く抱いて』と歌うのはいささかきまりが悪かった」というエピソードに笑う。
役者さんが3人もいるバンドなので、劇団の話もおもしろい。若い頃、閉店間際の銭湯でほかの劇団の役者さんと会っても、なんとなく「敵みたいなかんじで一言も話さなかった」んだそうな。なんかわかるぞ。「隣の小学校の奴らとは話さない」的な。そしてその頃、高橋克実氏は髪を洗っていたのだそうな…
相島一之氏は、東京サンシャインボーイズに所属していた俳優さんで、「12人の優しい日本人」で主演していたのが印象強い。もう20年も前田と思うとおそろしが、氏はちっとも変わっていない。ブルースハープのシャウトも歌声も素敵だ。端正な眼鏡顔が美しい。
六角氏が毒づこうとしてやめると斜め後ろから「毒、吐いちゃいなよ!」とそそのかす。観客が引きそうな鉄道話にネタが逸れすぎると、「その用語わからないから」とちゃんと軌道修正もしたり。そんな様は、まさに「優しい悪魔」。
江上徹氏はカッコいいギターを弾く。そしてハスキーボイスがセクシーでシビれる。プロフィールによると、ナレーターのお仕事もされているとか、なるほど。
最近心臓が止まりかけたという話は笑えないけど笑っちゃった。どうか、お体大事にしてください。
高橋悟朗氏はジャズミュージシャンで、六角氏の高校の後輩なのだそうな。ちょうどベースの真ん前に座っていたのでじっくり堪能できた。ベースってすごいな。職人技。六角氏がギターを入れ替えるためにちょっと穴埋めを頼まれたシーンで弾いていたソロ、見入ってしまった。そしてバンドメンバーも見入っていた。それに気づいた氏が照れて途中でやめちゃったのが残念。
有馬自由氏は六角氏と同じ扉座の俳優さんで、最初のライブから一緒に演奏しているのだそうな。最初は準備時間もなく、ライブ会場に向かう飛行機の中で曲目を説明されてあわてて準備したそうで、六角氏に「たいこたたいてるフリしてたんじゃないの」「フリの方が大変だよ!」なんて笑って話していた。素敵な笑顔。笑顔が辺りをぱあっと明るく照らす。柔らかいたいこの音に、聞いている方もにこにこしてしまう。
みんな40台中旬~50前のおじさんたちなんだけど、ひたすらカッコいい。このバンドにかかって六角氏が歌うと、オリジナルはもちろんおこと、カバー曲も六角バンドの色に見事に染まる。
最後に歌ってくれた「やつらの足音のバラード」なんて「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングだのに全く別ものに響いてきて、胸があたたかいのに詰まった。友人は涙ぐんでいた。
「以前より生活は楽になって、飲み屋で好きなものを頼めるようになったけど、今度は痛風で体がつらいので他人に勧めてそれを横からもらう」とか「親しげに話しかけられてもう30分も話を合わせているけれど、あなたが誰だかわからない」だとか、「今日も出かけて飲み或る胃たが、酒に毒でも入っているのか今日も気分が悪い」だとか、そんな歌たち。
完璧でも二の線でもないけど、だから歌える歌で、心を打つ。
やらかしちゃったり、くやしい思いをしたり、とことん落ち込んだり、痛かったり、恥ずかしかったり、傷ついたりしたことがあるからこそわかることがある。他人の気持ちが思いやれるようになる。それからでないと歌えない歌がある。
かっこいいなあ、おじさんバンド。
シビれました。参りました。きっと、また行っちゃうよ。
終了後、ひと息付いて身支度をととのえて階段を上がろうとしたら、さっきはけていったバンドメンバーがまたそこにいるのだった。あのう、よくお会いしますね…
図々しく、六角氏に握手をお願いした。快く手を差し出してくれた。さらさらでふっくらした、いい手だった。
外は明るくて暑い。夏休みの昼寝中にみていた夢からさめたみたいだった。
***********************************
追記:mxiの江上徹氏の日記より、セットリストを掲載いただいたので転記。
一部
1.男らしいって分かるかい (高田渡/ボブディランのカバー/Ishallbereleast)
2.早く抱いて/下田逸郎
3・トンネル/高田渡
4.下北沢茶沢通り
5.出かけては帰って来て
6・想う
7.アナタが誰だか判らない/相島一之さん 歌唱/(相島さんオリジナル)
8.ほんとうの歌 (相棒米沢守の事件簿サウンドトラックより)
二部
1.愛のさざ波/島倉千代子
2.一人の歌
3.お父さんが嘘をついた
4.ロックンロール/バンバンバザール
5.グンナイト
6.無言劇/萩原健一(江上徹歌唱)
7.この世で一番キレイなもの/早川義夫
8.各駅停車/猫
アンコール
やつらの足音のバラード/かまやつ ひろし
■おまけ
「相棒」からのお花。
私は六角氏見たさの相棒ファンなのだ。
氏が主演で「相棒-米沢守の事件簿-」が映画化された時には「都合のいい夢を見るなあ、私も」とあきれたが本当だった。
映画の六角さんは、よりいっそう髪がサラサラだよ。
by shizumin_exite
| 2010-08-23 12:45
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